ブルーインパルス情報
T-4 Blue Impulse
懐かしのT-2 Blue Impulse写真館
航空自衛隊のアクロバット飛行チーム・ブルーインパルスは宮城県松島基地に所在し、正式名称を第4航空団第11飛行隊と言います。展示飛行を専門に行う部隊で、展示を通して航空自衛隊を広く理解してもらうという広報と、戦技の研究・発展がおもな任務です。95年までは第21飛行隊の中の「戦技研究班」ということで、ふだん学生パイロットを指導している教官が展示飛行も行うという2足のわらじの状態でしたが、現在は独立した飛行隊として活躍しています。
使用機は現在3代目で、国産の中等練習機T-4が使用されています。初代のF-86Fブルーインパルスに似て、低速・低高度での安定性が特長です。しかし1982年〜1995年に活躍したT-2ブルーインパルスは、スピード感あふれる演技と矢のような鋭い形の機体が大変美しく、多くのファンを魅了しました。T-2は三菱重工業を中心として製作された、わが国唯一の国産超音速練習機です(現在はF-2に更新されようとしていますが、まだ松島基地の第21・22飛行隊で超音速練習機として活躍しています)。その後F-1支援戦闘機(これもF-2に更新されつつあります。)に改造されたことでもわかりますが、高速飛行に主眼をおいて設計されたため、アクロバット飛行には向かないと言われたこともありました。しかし関係者の努力により、T-2の持つスピード感と機体の美しさを存分に見せるアクロが出来上がりました。プロシージャーターン(演技の合間に、次の演技に入るための旋回をすること)に時間がかかる短所もありましたが、これも次の演技を楽しみにさせてくれるものだったと思います。また離陸時にアフターバーナーがスモーク用のスピンドルオイルと反応して炎を曳きながら離陸していく様も、大変迫力がありました。
現在のT-4は、機体が非常に軽いことから推力重量比(機体の重さに対してパワーが強い)や翼面荷重(小さいと翼の働きが安定する)がよく、低高度でのダイナミックな演技を見せてくれます。
T-2(95年、新田原航空祭) | T-4(97年、岐阜航空祭) |
使用機種 | 活動年 | 部隊 | 所属基地 |
F-86F | 1960〜1981 | 第1航空団・空中機動研究班 | 浜松基地 |
T-2 | 1982〜1995 | 第4航空団第21飛行隊・戦技研究班 | 松島基地 |
T-4 | 1996〜 | 第4航空団第11飛行隊 | 松島基地 |
★6/4埼玉スタジアムにおけるワールドカップ日本初戦において、ブルーインパルスがダイヤモンドローパスを披露しました。6/4本番はクリーン形態で、かつ速度がリハーサルより速かったように、ビデオからは見えました。このサイトで予告したとおり、日本国国歌の直後に航過しました。ちなみにスモークはホワイト。いつの日に、あのきれいなカラースモークが復活するのか…。
航空自衛隊公式サイトに、本番でのフライトやブリーフィングの様子が公開されています。一見の価値あり。
6/3慣熟飛行の模様 |
会場北東側から進入 |
ダイヤモンドダーティーローパスを実施。カメラの頭上を予備機(5番機)が通過。 |
リハーサル1回目のあと、春日部ホールドポイントへ戻る5機。なお2回目は、本番と同様、会場で2国の国歌を流し、それが終わった直後のタイミングでブルーが進入した。 |
6/4(本番)
入間離陸 1725以降
春日部市付近上空 高度2000ftで空中待機
(スタジアムの北側から最終進入)
会場上空通過 1757(高度500ft)日本国国歌終了直後 ダイヤモンド(クリーン)ローパス
入間帰投 1810頃
会場通過は4機による編隊航過。また空中待機場所まで5番機が予備機として同行。したがって入間の離発着は5機である。
この情報に関しては、航空幕僚監部発表の資料によります。天候その他により中止や変更になることがあります。
★昨年、松島基地沖の訓練空域からの帰投時に2機の単独機が墜落し、今年の2月に飛行訓練を再開していたブルーインパルスは、8/26(日)の航空自衛隊松島基地から、展示飛行を再開する。当面の間は単独機なしで4機編隊のみの展示になる模様で、アクロバットをするのか編隊航過のみになるかは不明。 →航空自衛隊報道発表資料
【機数】
ブルーインパルスの展示飛行は基本的に6機です。1番機から4番機までがビシッと決まった編隊飛行を、そしてその幕間を5・6番機(単独機)が華麗なソロでつなぎます。
#1 | 編隊長 | Leader |
#2 | 左翼機 | Left |
#3 | 右翼機 | Right |
#4 | 後尾機 | Slot |
#5 | 第1単独機 | Lead Solo |
#6 | 第2単独機 | Opposit Solo |
【課目】
航空自衛隊の戦闘機パイロットが日頃行っている訓練課目を、展示用に改造したものです。天候(おもに視程)に応じて6種類のプログラムがあります。第1区分は最も条件の良いときに行われるもので、水平系・斜め系・縦系すべてを見ることができます。条件が悪いと例えば第4区分(水平系のみ)になったり、熊谷さくら祭などのイベントでは第6区分と呼ばれる編隊航過のみの課目になったりします。また百里基地では成田空港のトラフィックに配慮して、若干プログラムが変わっているところがあります。浜松基地では1982年にT-2が墜落事故を起こした影響で、縦系はもちろん90°以上のバンクも禁止という取り決めがされましたが、2000年の浜松航空祭でT-4が18年ぶりに第1区分を実施しました。
【パイロット】
メンバーは航空自衛隊の戦闘機パイロットのなかでもトップクラスの腕を持つ者が推薦され、さらに厳しい訓練を受けて展示飛行に参加します。T-2までは、パイロットは学生パイロットの教官とメンバーを兼任していましたが、第11飛行隊として独立してからは専任のパイロットとなりました。任期は通常3年間です。
展示飛行前の点検(#1) | Diamond Dirty Lowpass(#1〜4) |
Fan Break(#1〜4) | Change Over Turn(#1〜4・6) |
Delta Loop(#1〜4・6) | Bon Ton Roll(#1〜6) |
Tuck Cross(5・6) | Bomb Burst Upward(#1〜4・6) |
Cork Screw(5・6) |
※このページの写真は、特に注釈のない物はすべて1995年・新田原航空祭でのものです。
まず1機につき3名の機付整備員(グランドクルー)が行進して愛機に向かう。 | 続いてパイロットが愛機へ向かう。 |
このあとパイロットが乗り込む。(写真は1番機。) | パイロットのハーネス装着を手伝うグランドクルー。 |
手信号で合図を送りながらエンジンスタート。 |
編隊ハイアングルテイクオフ(#1〜#4) | |
単独機ノーマルテイクオフ(#5・#6) | |
6機によるデルタロール。(94年入間航空祭にて) |